吊戸棚や間仕切り壁を取り払う

今のキッチンが「セミオープン」や「独立プラン」なら、ダイニングとの間仕切り壁や吊戸棚を取り払い、「オープンキッチン」にできないかを検討してみましょう。間仕切り壁や吊戸棚がなくなれば、隣接するダイニングやリビングの光をキッチン内に採り込めるようになります。
吊戸棚を無くすと天井がダイニングとつながって開放感が生まれ、天井面からの反射光も採り込めるため、より明るく感じられるようになります。

           

収納量が減ることを不安に思うかもしれませんが、リフォームのときに、奥の方まで使いやすい引出しタイプのキャビネットに交換したり、キッチン近くにパントリーを設ければ、収納面の問題は解決できると思います。

オープンキッチンはダイニングやリビングからキッチン内が丸見えになるので少し抵抗がある、という方は、壁ではなくドアや引き戸で仕切ることをおすすめします。普段はドアや引き戸を開けておけば、キッチンは明るく開放的な空間になります。さらに、半透明の素材を用いたドアや引き戸にすれば、来客時に閉めても、ほのかに光を通すので真っ暗にはなりません。

キッチンは、明るい色でまとめる

キッチン扉の色は、光を反射する「白」や「明るめの色」から検討をはじめましょう。さらに、表面の仕上げは、艶のある「鏡面」や「光沢」を選ぶとよいでしょう。明るい色で艶感のある扉なら、太陽や照明の光を反射し、その反射光が空間を明るく照らします。特に、キッチン内に窓が無くあまり広くない場合は、圧迫感を減らし、明るく軽やかな印象に仕上げるためには「白色&艶有り」の扉が効果的です。

キッチンカウンターも「白」や「明るめの色」がよいでしょう。光を反射する効果だけででなく、調理作業中の手元が明るく感じられる効果もあります。以前、リフォーム時にカウンターをステンレスから白の人造大理石に変えられたお客様は「手元が明るくなって、明るい気持ちで料理ができる」とお話しされていました。

本来、色選びは“好み”を重視したいのですが、明るい空間づくりを優先するなら、黒やグレー、濃い茶色といったダークカラー系は避けたほうが無難です。アクセントカラーとして用いる場合でも、目線に入りにくいようにキャビネットや収納の下方に取り入れる程度にしておきましょう。

キッチンだけでなく、床・壁・天井も白や明るい色を選んで、キッチン空間全体をまとめることも大事です。キッチンカウンターと同様に、キッチンの前壁や背面収納など、目に入りやすい部分は明るめの色にすることも重要なポイントです。
壁や天井は、どんなキッチンの色にも合い、反射光もまわりやすい「白」をご提案するケースが多いですし、実際、白を選ばれる方が多いです。

難しいのが、床の選び方です。オープンキッチンでは、床をダイニングやリビングと同じフローリングにすることが多いです。しかし、明るいダイニングに隣接するキッチンの場合、濃い色のフローリングだとキッチンではより暗く感じることがあります。これは目に入る光の量が明るいダイニングに合せて絞られてしまう、いわば“目のカメラ機能”によるものです。

「LDKの統一感を優先するために床材も揃えたい」という希望がないなら、キッチンを明るくするためには、ダイニングとキッチンの間に見切り材を入れ、キッチンの床のみ明るい色に変える方法があります。その場合、積極的に素材の違う樹脂やタイルを選べば、空間をゆるやかに区切る効果もありますし、フローリングより水や汚れに強いのでお掃除もラクになります。

背面収納の扉も、キッチン扉と同じく、白や明るめの色をおすすめします。もしくは、ガラスなど透過性のある素材なら、軽やかに見えて圧迫感も減ります。最近は収納扉も素材やデザインの種類が豊富なので、自分の好みや収納する物、使い勝手などを考慮して選びましょう。

照明の数や配置をしっかり計画する

キッチンの照明は、空間を均質に照らす「全体照明」と、手元を照らす「部分照明」を組み合わせるプランが基本です。

全体照明は、蛍光灯などの照明器具をキッチン空間の中央に取り付けるプランが多いです。しかし、取り付け位置に注意しないと、収納扉が器具にぶつかる、扉を開くと暗がりができるなどの失敗を招きます。あまり広くないキッチンなら、天井に埋め込むダウンライトを複数取り付ければ、このような失敗は防げるでしょう。

部分照明は、天井にダウンライトやスポットライトを取り付けたり、吊戸棚の下に蛍光灯を付けるプランが多いです。全体照明は作業する人の後ろ側にあると、手元に自分の影をつくりやすいので、手元照明は作業する人の真上に取り付けましょう。

照明の色は、黄色っぽい白熱色は料理が美味しく見えて寛ぐ場所に適し、青白い蛍光色は細やかな作業に適すると言われるので、白熱色と蛍光色を適度に混ぜるのが理想的です。
例えば、部分照明を蛍光色にするなら全体照明は白熱色に、食卓も兼ねたキッチンカウンターの上は白熱色にしてキッチンの全体照明は蛍光色にする、などの方法があります。一方、オープンキッチンでは、リビングやダイニングの雰囲気を優先して、すべて白熱色にするケースもあります。プランや用途を考慮して組み合わせましょう。

もし、今のキッチンの照明の数や配置に不満はなくても、年齢を重ねるともっと明るさが必要になるかもしれません。先を見越して、リフォームの時に照明の数は多めに配し、不用な照明はランプを外したり、ワット数を小さくしておくという方法はおすすめです。または、ラインダクトを設け、明るさが足りなくなったら照明器具を買い足すという方法もよいでしょう。